現状のプレカット工事用での木造伏図に見る構造欠陥の事例、木造軸組工法での構造計画の段階で構造設計の耐震性の検討、構造計算の方法などについて、正しく理解してもらい今後の木造住宅、建築について、構造根拠に基づいた適正な方法で計画、設計してもらうための講習会を全国で実施した。
講習会では、テキストとして「木造住宅・木造建築物の構造計画・生産性向上のための木構造設計のポイント」作成し、「木造伏図に見る構造欠陥、構造計画の方法」、今後増大する木造建築について「中断面構造材による構造計算の方法」の二つの内容を中心に行い、また対象者をプレカット工場向け(P)、工務店・設計事務所向け(K)の二つに分けて別々に開催した。
開催は12月28日の徳島から2月22日の仙台までで、全国11カ所(19会場)で開催し、延べ548名の参加(欠席24名)があった。
会場別の参加者は11/28徳島(P)20名、12/4東京(P)31名、12/16大阪(P)22名、12/18福岡(P)10名、12/25茨城(P)11名、1/16広島(P)15名・(K)43名、2/1徳島(K)43名、2/4福岡(P)27名、2/5新潟(P)5名・(K)59名、2/7札幌(K)46名、2/15岡山(P)20名、2/17名古屋(P)46名・(K)23名、2/21東京(P)52名・(K)53名、2/22仙台(P)14名・(K)8名。
対象者別では、(P)プレカット工場向けでは273名、(K)工務店・設計事務所向けでは275名であった。アンケート回答者は延べ438名だった。
ただ、当初の予定では、今回の講習会開催を全国14カ所で、プレカット工場向け14回(受講者見込み560名)、工務店・設計事務所向け14回(受講者見込み560名)を計画していたが、約半分の達成に留まり残念な結果となった。理由としては、プレカット業界、工務店、設計事務所とも、消費税増税前の駆け込み需要が非常に忙しい時期と重なり、一番仕事が集中する業種であるためなかなか受講者を集めることが難しくなったことに加え、主催者である金物工法推進協議会の前田会長が講習会スタート時期の11月末に突然の病気のため長期入院となり、積極的な受講者集め等が出来ず、講習会の開催回数を縮小せざるを得なかった。そのため、金物工法推進協議会会員である地域のプレカット工場が主体となって、地域のプレカット工場をブロック単位で協議会設立し、プレカット工場における構造耐震設計と構造プレカット部材の接合部の品質基準の確認が出来る管理体制強化の為の品質管理体制を構築していく活動なども出来なかったが、各地のプレカット工場、プレカット協議会と協力して講習会を開催することができた。
NPO法人木の建築フォラムの調べによると、プレカット工場の設計者の85%が無資格者である事、プレカット工場で構造材として使用されているJAS農林規格材は僅か20%である。
この様な木造軸組工法業界の問題点を解決する為には、構造設計基準の標準化とJAS農林規格材の使用を義務付ける事が必要であるが、木造の構造設計基準としては、建築基準法、住宅品質確保促進法、そして許容応力度計算法によるトリプルスタンダードになっている状況である。
本事業において、「架構方法の手引」など、木造住宅の構造を研究しているNPO法人「木の建築フォラム」のワーキンググループ「現代木割術研究会」と、「奨励基礎マニアル」など、木造住宅の基礎を研究している「日本住宅基礎鉄筋工業会」の協力を得て、金物工法推進協議会が東京都市大学大橋好光教授に指導を受けている勉強会「大橋塾」のメンバーで「木造軸組金物接合工法の構造的根拠に基づく架構設計の方法について」のテキストを製作し、木造軸組金物接合工法の構造設計方法の標準化を進め、設計・加工・施工の責任体制を明確にする事を目指して「構造設計研究会」を6回開催し、耐久性や耐震性など構造的根拠の基づいた内容を纏めた「構造設計のテキスト」を配布して、工務店、設計事務所、プレカット工場を対象に福岡、神戸、名古屋、東京、仙台、札幌の6ヶ所でセミナーを3月から5月中旬に開催しました。
検証実験については、最初に金物接合部の強度を生かした許容応力度計算方法を検討した結果、今回の日程では、新しい許容応力度計算方法を開発する為の解析時間が足らない事が判り、今回は、金物工法のオープン化の為に金物メーカー8社の国産杉集成材のせん断強度実験データを取り纏めた上、メーカーのカタログデータと検証して、その情報を共有する為に金物工法推進協議会のホームページに公開する事にした。
※実験映像のファイルサイズは240~850MBです。
ブロードバンド環境であってもダウンロードに数分以上かかる場合があります。
ご注意下さい。
金物工法による木造住宅の供給が、耐震性、耐久性、構造の安定においても長期優良住宅の供給システムとして適している事を訴える為に、具体的な展開として、①金物工法の架構方法による耐震性、耐風性など設計基準について、②金物工法による構造的根拠に基づく基礎設計基準について等をテーマとして、住宅供給者、設計・施工者等に啓発・普及活動目的に全国でセミナーを開催した。
金物工法による木造住宅の供給が、耐震性、耐久性、施工性、省エネルギー化においても次世代の木造住宅の供給システムとして適している事を訴える為に、具体的な展開として、①金物工法による架構設計、施工手順の合理化について、②金物工法による基礎構造設計、施工手順の合理性について、③金物工法による省エネルギー設計、施工手順などをテーマとして、全国でセミナーを開催、金物工法による瑕疵担保責任に対応した木造住宅構造設計基準の必要性と責任施工体制の整備における施工手順の標準化の必要性について、住宅供給者、設計・施工者等に啓発・普及活動をした。
金物工法による木造住宅の供給が、建築基準法改正後の木造軸組住宅の瑕疵担保責任の履行に対応し易い供給システムとして、また、耐震性、耐久性、施工性、省エネルギー化においても次世代の木造住宅の供給システムとして金物工法が適している事を訴える為に、具体的な展開として、木造軸組金物工法による架構設計と基礎設計、及び施工手順の合理化を進める為に、金物工法による木造軸組構造設計基準と施工基準の標準化を進め、責任施工体制の整備をする事が必要不可欠である事を住宅供給者から設計・施工者に啓発・普及活動をした。
セミナーのテーマは①木造軸組金物工法に関する軸組構造設計の方法と施工基準の検討について、②木造軸組金物工法に関する基礎構造設計と施工基準の検討について、③木造軸組金物工法の許容応力度計算の方法と検討について、建築基準法改正後の対応として、④瑕疵担保責任履行確保法の概要について、⑤「木造2階建住宅の構造関係規定に関する審査の省略」4号特例の廃止後の対応について、建築確認申請時における建築設計士に問われる責任の内容の5つを取り上げ、それぞれのテーマでセミナーを開催。各地の住宅資材流通業者のプレカット工場と工務店・設計事務所で金物工法に関心のある人々の多数の参加を得た。
展開した主な事業は次ぎの通り。
金物工法による木造住宅の供給が、性能、施工性、省力化という点で次世代の木造住宅供給として適していることを全国で開催するセミナーで訴えるとともに、その具体的な展開としてテーマを①金物工法に関すること、②金物工法に必要な基礎性能に関すること、の2つを提示し、それぞれのテーマでセミナーを開催。また各地での開催するセミナーにあたっては、地元材を使用し気候風土を考慮した性能表示対応の地域仕様の金物工法についても検討し、啓蒙・普及にあたるとともに、金物工法に取り組む工務店等に対しては、金物工法の教育、施工指導の機会として活用する。